クリスマスに読む一冊
第二十三夜

にぎやかなパーティーもいいけれど、聖なる夜を心静かに迎えたい…

1993年のクリスマス
(原題「Christmas 1993 or Santa's Last Ride」)
レスリー・ブリカス 文 エロール・ル・カイン 絵 北村太郎 訳
発行 ほるぷ出版


むかしのクリスマスはね、簡単だった。サンタの手伝いをしてクリスマスの準備をする小人たちだって
12人で充分だったし、プレゼントを配るのもあっという間だった。ところが年が経つにつれて、だん
だんそれが難しくなった。1993年のクリスマスに至っては、小人の数は12の100万倍がいっせ
いにかかっても、まるまる一年準備に費やして、それでもプレゼントを配る途中でトナカイが倒れるし
まつ。いったい世の中クリスマスはどうなっちゃったんだ?わしの仕事はただ一つ、一年に一度、世界
中が幸せになるように、暖かい心を配ることなのに…サンタの静かな訴え。1993年にいったい何が?

この本が出版されたのは1988年のことなので、1993年という年は、いわゆる「ちょっと未来」
にリアリティを持たせるために使われたもので、特に今からすれば過去の1993年に何かあったと
いうわけではありません。年号にこだわらず、たとえば今なら2010年とか、ちょっと未来という
印象を持って読まれた方がいいような気がします。これまで紹介した幸せなクリスマスの本とは全く違う
味を持った本ですが、この本にこめられたメッセージはとても真剣で膨大なものです。この本を読み終
えて再び街のイルミネーションを見た時に、あなたはそれまでとは全く違う感想を覚えることでしょう…。