◆ 本棚のある場所訪問記 ◆

大英図書館【British Library】(London)
 2004年1月、British Library(大英図書館)に行ってきました。

(行き方)
 British Libraryはいくつか分館もあるようですが、私が行ったのは本館であるセント・パンクラス館。
 まずは、ロンドンの動脈である地下鉄(チューブ)を乗り継いで、ハリー・ポッターの舞台になったことで有名な キングス・クロス駅へ向かいます。正確にはキングス・クロス・セント・パンクラス駅です。地下鉄の駅名ではひとつの 駅のように見えますが、実は地上では3つの地上線につながっているのです。

 そんなわけで、地下鉄から地上へ戻ると、ちょっと迷うかもしれません。キングス・クロス駅だけでも駅舎が2つあるだけでなく、 セント・パンクラス駅が隣にあるからです。キングス・クロス駅がある街角は5つの大通りが交差する大きな交差点。 地図上ではBritish Libraryは駅のすぐ近くのように見えるのに、駅前でいくら周りを見回しても、それらしき建物は見えません。
 おまけに、手がかりとなるはずの住所は「96 Euston Road」のみ。ユーストン・ロードというのは、この5つの大通りが支流のように 合流して大きな道になっている、駅前の大通りのことらしい。でも、右も左もこの「ユーストン・ロード」沿いなんです…。
 私の場合は、駅の周りをうろうろしていたら、運良く「British Library」の看板を見つけられたので、それほど迷いませんでしたが、 今は、その時やっていた工事も終わって、またややこしくなってるかも!?
 …と、とりあえずユーストン・ロードに沿って右に行けばいいようですので、看板を探して行ってみて下さい。

(セント・パンクラス館)
 実はわたくし、British Libraryはとても古くて豪華なゴシック建築の建物なんだろうな、と勝手に思い込んでおりました。 以前見たオックスフォードのボドリアン・ライブラリーがそうだったからかもしれません。しかし、現実のBritish Libraryは とても新しく、モダンな外観の建物【写真1】で、危うく見落とすところでした。ふとビル街が途切れて、噴水やベンチがきれいに 置かれている広場があるな…と思ってみたら、その奥になにやら普段着の人が出入りする建物があり、なんだか図書館みたいだな、 と思ったら、そこに「The British Library」の文字板【写真2】が掲げられていたのです。

 British Libararyの建物は赤レンガのような朱色の壁と灰茶色の屋根。縦よりも横に広い建物で、 どことなくアジア建築をも思わせます。ガラス張りの正面玄関を緊張しつつ開けると、そこは吹き抜けのホールになっています。 左手にブックショップ、正面にインフォメーション・センターがあり、その左手に鎮座する銅像との間に中二階とでもいうべき 二番目のフロアへ続く上り階段があります。一方、右手にはロッカー等がある地下へ続く階段があります。

 館内に入ってまず目を奪うのは、建物の真ん中にある、中二階からほぼ天井近くまでそびえる高い本棚。 よく見るとこれは全面ガラス張りの部屋の中に閉じ込められた本棚で、どこにも入り口は見つかりません。 これはキングズ・ライブラリーといい、中は一般には公開されていない貴重書がおさめられています。
 しかし、たとえガラス越しで手に取れないとはいえ、古びた赤や茶色の革表紙に包まれた本でいっぱいの本棚の ビルは見ごたえがあります。この本棚の周りにはけっこうな広さとメニューを備えたカフェや、小規模なテーマ展示場があり、 ちょっとした交流の場になっています。勉強の合間にここでランチをとる人も多いのでしょうね。実はここで パニーニを食べましたが、なかなかおいしかったです♪

 ところで、実はBritish Libraryは公共図書館では「ありません」。
 これはライブラリーの案内書にも明記されていることで、館内の蔵書を手にとって見ることができる (らしい)リーディング・ルームには、British Libraryで行われている研究成果を求めている人や、 British Libraryに「しか」無い、と判明している資料を必要としている研究者や学生にのみ開かれています。 そういうわけで、リーディング・ルームに入るには各自機関の紹介状を携えたうえで厳しい入館審査を受け、 そこで合格した人のみが入室許可証を発行されます。この入室許可証の受付所は新規と更新の二部屋に分かれており、 新規向けの部屋には「求める資料が本当にBritish Libraryのみに存在するのか」を調べる検索機が何台も設置されていました。 利用しやすいように各種案内やマニュアルは準備されているものの、地方の公共図書館のような気安い雰囲気はなく、 なるほどここは研究機関なのだなあ、としみじみ思ってみたり。

 そんなわけで、通りすがりの一観光客である私には、とても本を手に取ることは無理。 でも、そんな入館者でも楽しめるところがたくさんあるのがBritish Libraryです。 まずは、館内で一番大きい展示室である「The John Ritblat Gallery」。ここにはBritish Libraryが 所蔵する図書や資料の中でも、歴史的に重い価値があるコレクションが展示されています。 覚えているだけでも、グーテンベルクが世界で最初に印刷した聖書、「不思議の国のアリス」の初版本、 ヘンデル直筆の「メサイヤ」の楽譜、マグナ・カルタ、シェイクスピアの初版ものなど。 2004年は「ピーター・パン」誕生100周年ということで、ピーター・パンの初版本などを含む特設コーナーも設けられていました。

 そして、地下にあるもうひとつのギャラリー、「The Pearson Gallery」。ここでは特別展示が行われていて、 私が行った時には、ここ20年間における中国の印刷や活字についての展示が行われていました。また、常設ではないものの、 各種映写会や演奏会、朗読やパフォーマンスといった催しも定期的に行われているようです。中央フロアで行われていた 本の装丁の展示は、今昔の本のデザインが見られて面白かったですよ。

 ちなみに、パンフレットを見た限りでは、特別な展示会や外部の人間を招いての催しを除けば、 入館料は無料です。特に前にあげた「The John Ritblat Gallery」は、すばらしい展示内容にもかかわらず常時無料。 ここを見学できただけでも、足を運んだ甲斐があるというもの。

 そうそう、一階にあるブックショップには、British Library所蔵コレクションに関する書籍が そろっているだけでなく、ミュージアム・グッズならぬライブラリー・グッズが山ほどそろっています。 1世紀以上前のタロット・カードの完全複製版や、グーテンベルクの聖書の一部をポスター化したものなど、 目がとびでるようなお値段のものから,British Library の名前が入ったしおりまで多種多様。
「図書館に行くんだから、特にお金を持っていかなくてもいいだろう」と思っている方はお気をつけて!(笑)。
2004.1.7