リベリオン
EQUILIBRIUM
 
 

 

2002年アメリカ/監督:カート・ウィマー/出演:クリスチャン・ベール、エミリー・ワトソン
「1」で終わったマトリックス。←みもふたも無い(笑)
全体的な印象としてはそんな感じ。…でも、正直テーマとしてはこっちのほうが好み。

舞台は未来の地球。「恒久平和」を構築するためには人間性そのものを統制することが必要と、あらゆる感情表現が禁じられた世界。 そこでは音楽、絵画はもちろん、ペットを可愛がることすら禁じられ、人々は不満や感情を消す薬の服用を義務づけられている。それを意図的に破った人間は裁判にかけられ、ほとんどが死刑にされている。
主人公は彼ら違反者を冷徹無比に摘発する「クレリック」と呼ばれる、無敵の戦法を操る兵士のひとり。彼は妻を「違反者」としてみずから摘発し、死刑に追いやった過去があるが、 彼はそれを当然のこととして処理している。子どもたちも一見それを是として悲しむ様子はない。だが、ある日彼は薬のケースを落として壊してしまったため、薬を服用しない一日を過ごしてしまう…。

…いかん、あらすじを書こうとしたら全部書いてしまいかねないわ(笑)。でも、まあ、こう書くと小説としてはこれまでにもどこかで読んだような舞台設定なんだけど、 映画として、それこそマトリックスみたいにいくらでも話を引きずれる設定と技術を持っているのに、あえて2時間程度の映画に仕上げている所が潔い。
何より、主人公の存在感が凄い。主人公を演じるのはクリスチャン・ベール。彼の、研ぎ澄まされたナイフのような清冽な存在感が、主人公の高潔さや、隠された情熱なんかを見事に現していて、 彼から目が離せません。子どもや小犬のエピソードがすごく良かった。これまで見たことのないエピソード展開でどきどきしました。

この映画で最も有名なのは「ガン=カタ」と呼ばれる、その名の通り「銃」と「型」を組み合わせた独特のアクションシーンなんだそうです。私はそういったポイントや 物語にもほとんど期待してなくて、ただショーン・ビーンが出ている(笑)というので見たんですが、想像以上に良かったです。ラストシーンも、 結局主人公がどうなったのか、世界はどうなるのか、はっきりしていない所が私は良かったと思います。あそこで死んでも彼は本望だったろうし(遺志を継ぐ人もいるわけだし)、 世界の未来なんてどうなるか分からないっていうのが本当だろうし。ただ、「絶対の平和」が「人間性の抹殺」でしか得られないとしたら、 あなたはどちらを選ぶ?…という、深遠かつ答えのない問いを、ここまでカッコいい映画にしちゃった心意気に惚れました。