フィオナの海
The Secret of Roan Inish
 
 

  

1994年アメリカ/監督:ジョン・セイルズ/出演:ジェニー・コートニー ジョン・リンチ
昔々、ある男が海辺でアザラシがアザラシの皮を脱ぎ捨てて美しい女になるのを見た。男は アザラシの皮を隠し、途方にくれる女を助けて夫婦になった。二人には子供ができたが、ある日、 子どもがアザラシの皮のことを歌っているところを聞いた女は皮を取り戻し、男と子どもを残して 海へ帰っていった…。

この、日本の天女伝説とそっくりなアイルランドの伝説を下敷きにつくられたファンタジー映画です。ファンタジーと いっても異世界に行くとかそんな派手なものではなく、あくまでも平凡な日常の中にすべりこんでくる 非日常、といった感じの淡々としたもの。フィオナの一家はこのアザラシと人間の男の間にできた 子どもの子孫だと言われているのですが、おとなたちは皆ただの伝説だと言って信じていません。 フィオナだけがそれを信じ、幼い頃いなくなった弟が遠い親戚であるアザラシに助けられてどこかで 生きていると信じています。おとなたちはフィオナを哂い、彼女の言うことを信じようとしないのですが、 彼女は彼らの言うことなど気にせず、自分の判断力と信じるものに従って弟を見つけ出すのです。

この、フィオナを演じている少女の演技、特に瞳の表情が印象に残っています。異世界と現実世界を隔てる ものをも見通す目とはこういうのを言うのじゃないかしら。特に声を荒げて反論したり、自分の言い分を 主張するわけではないのに、黙って、ただ自分の欲するもの、知りたいことを知るために、どれが正しい情報で、 そうでないかを静かに判断し、周りに惑わされずに「それ」を見つける瞳。

つくづく、私もそうありたいと思います。