ガブリエル・バンサン
Gabrielle Vincent
(1928〜2000)
ベルギーのブリュッセル生まれ。
代表作に「くまのアーネストおじさん」シリーズなど。
卓越したデッサン力に評価が高く、
日本の水墨画に影響を受けたという単色の絵本は
日本でオリジナル出版されたものも多い。
◆ブックリスト◆



あの夏
 作:ガブリエル・バンサン/訳:もりひさし/発行:ブックローン出版(1995)
 "ぼくとセレスティーヌは、ふたりにとってたいせつなひとをなくしたのです"…『セレスティーヌ』に続く、 「アーネストとセレスティーヌ」シリーズのデッサン絵本第2弾。タイトルに「あの夏」とありますが、これは冬のお話です。

 アーネストの友人であり、セレスティーヌもよくなついている女性、ガズー。重い病気にかかり、治る見込みがない彼女を 心配しつつ、アーネストはそれをセレスティーヌに告げることができません。死に面した彼女に会うことが辛くて会いに行くのを 渋ったり、なのに会えると嬉しかったり、一方で彼女を慕うセレスティーヌを見てガズーに嫉妬してしまったり、なのにやっぱり ガズーが心配で何も手につかなかったり、何も知らないセレスティーヌに気取らせまいと必死に普通を装ったり……。
 大切な人が死に瀕しているのに、何もできない。してあげられない。その悲しさ、不安、受け入れがたい気持ちといったものが、 アーネストの不器用な行動からひしひしと伝わってくる、静かでせつない絵本です。さらりと読んでしまうと物語を味わうことができず、 かといって、ゆっくりとアーネストの心情を追いつつ読むと途中で辛くなる、ちょっと面倒な絵本でしょうか(笑)。でも、 深く読めば読むほど、最後のページを閉じた後に「あの夏」というタイトルの意味が深く深く伝わって、静かな感動を味わえると思うのです…。

アンジュール
 絵:ガブリエル・バンサン/発行:ブックローン出版(1986)
 

ヴァイオリニスト
 作:ガブリエル・バンサン/訳:今江祥智/発行:ブックローン出版(2001)
 父親との葛藤に苦しむひとりのヴァイオリニスト。その姿を窓の外から眺める少年。彼の顔はヴァイオリニストの 苦しみを、それでも奏でずにはいられない音楽を、じっと大きな瞳で見つめ続ける。そうしているうちに 彼の音楽は近所の人々の足を止めさせて…。
「大事なものは、すぐそこの窓のむこうにあるもの」――ヴァイオリニストがヴァイオリンを手にして いる時、白と黒だけの画面からヴァイオリンの音色が聞こえるような気がする。それは弾く人の 価値観、音楽を押し付けるものではなく、聞く人ひとりひとりの心の琴線を奏でるもの。
 だから紙面を越えてこの絵本を読む人の耳にも、彼のヴァイオリンの音色は聞こえるのだ。

くまのアーネストおじさん シリーズ
 作:ガブリエル・バンサン/訳:もりひさし/発行:ブックローン出版
かえってきたおにんぎょう
ふたりは まちの おんがくか
あめの ひの ピクニック
ふたりで しゃしんを
まいごに なった セレスティーヌ
ふたりの おきゃくさま
びょうきになった アーネスト
ふたりの インテリア
サーカスが やってきた
セレスティーヌのクリスマス
アントワーヌからの てがみ
セレスティーヌとプラム
アーネストが ころんだ
ちいさな もみの木
ふたりで めいろへ
とおい ひの うた
セレスティーヌの きまぐれ
セレスティーヌの こや
ボレロが やってきた
セレスティーヌの おいたち
不器用で優しいくまのアーネストおじさんと、おしゃまなねずみの女の子セレスティーヌの、貧しいけれど 愛とすてきなアイディアにあふれた日々。
毎日おこる小さな事件を、二人は二人らしいエッセンスですてきな日々に変えてしまいます。

セレスティーヌ
 絵:ガブリエル・バンサン/訳:もりひさし/発行:ブックローン出版(1988)
 

たまご
 絵:ガブリエル・バンサン/発行:ブックローン出版(1986)

ナビル ある少年の物語
 作:ガブリエル・バンサン/訳:今江祥智/発行:ブックローン出版(2000)

老夫婦
 絵:ガブリエル・バンサン/詞:ジャック・ブレル/訳:今江祥智/発行:ブックローン出版(1996)
 シャンソン歌手ジャック・ブレルの歌「老夫婦」にバンサンさんが絵をつけて絵本化したもの。私はこの曲を聴いたことは ありませんが、バンサンさんの"線と、光と、影"で描かれた老夫婦の気だるい一日、そしてその中に 秘められた悲哀とか愛とか孤独とか生死とか…そういったものが、明らかにある旋律をもって 訴えかけてくるのを感じました。
 一枚一枚をゆっくりと、できれば曲を聴きながら、一日かけてでも眺めていたい絵本。
 そのたびに人生とか時というものに対する新しい発見をするような気がして…。